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“マツダ効果”でディーゼル復権 販売4.4倍予想、国内の評価変わる
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ディーゼル搭載車が人気のマツダの新型「アテンザ」 ディーゼルエンジン乗用車が復活傾向をみせている。今年2月に発売したマツダのスポーツ用多目的車(SUV)「CX-5」が想定以上の売れ行きをみせており、三菱自動車が10月に発売したSUV「アウトランダー」にディーゼル車を追加する検討に入るなど、搭載車種の拡大が見込まれる。
いずれも窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を大幅に低減したクリーンディーゼルを搭載。ガソリン価格の高止まりなどもあって同ディーゼルの認知度が向上してきたからだ。今年の国内販売は前年比約4.4倍の4万台に達するとの予想も出てきた。
「日本での評価も変わってきた」。三菱自動車の益子修社長はクリーンディーゼルの有望性をこう強調する。同社の国内向けディーゼル車は現在、SUV「パジェロ」だけだが、来月発売の新型ミニバン「デリカD:5」にも追加。この売れ行きをみた上で、アウトランダーへの追加も検討する。
ディーゼル車人気の先駆けとなったのが、マツダの7年ぶりのディーゼル車となったCX-5だ。エンジン排気量2200ccで燃費は軽油1リットル当たり18.6キロと高い燃費性能を兼ね備えたことが評判を呼び、「販売の約8割がディーゼル」(広報部)という。
今月発売の中型車「アテンザ」にもディーゼル車を設定、「国内月販目標1000台のうち、ディーゼルを6割程度にしたい」(山内孝会長兼社長)と意欲を燃やす。
日本自動車工業会などによると、昨年の国内乗用車販売に占めるディーゼル車の割合は0.4%以下の9072台。1990年代に排ガス中のNOxなどが問題視され、国や東京都などが税負担増や走行規制を強めたことなどで人気が落ちた。
国産車では2008年に初めてクリーンディーゼル乗用車が発売されたが、ここにきて認知度が向上。今年は“マツダ効果”もあり、10月末までで約3万2000台と急増。秋発表の新車効果も手伝い、年間では4万台を超えると目されている。
こうした動きに、ディーゼル車が主流の欧州勢も日本市場で攻勢。独BMWは今秋、セダンやワゴンなど計5モデルを一挙に発売。アウディもディーゼル投入に前向きだ。販売車種が増えれば、ディーゼル比率はさらに高まる。(山沢義徳)