大阪府・市では、地下鉄の延伸などにかかるインフラ費用の一部を事業者に負担させたい意向だが、交渉は難航する可能性がある。一方、11月には政府が大阪への誘致を申請した万国博覧会の開催地が決まるが、大阪で開催が決定しなければ、万博とIRによる相乗効果もなくなり、大阪のアピールポイントが弱まってしまう。
またライバル同士の動向も見逃せない。IR誘致は、現在、大阪、和歌山、北海道、長崎の4道府県が誘致に積極的とされるものの、巻き返してくる自治体が出てこないとはかぎらない。東京都、横浜市、千葉市も誘致による影響を調査している。
ゴールドマン・サックス証券の試算は、東京圏でのカジノを運営の粗収入は、年間7876億円と、大阪よりも337億円多くなると見積もっている。
優れたIRを造りたいとの強い意欲を自治体が示すだけでは、事業者の協力は得られない。ほかの自治体よりも大きい経済的なメリットなどを示せなければ、巨額な出資を引き出すのは難しい。
IRビジネスがやりやすく、もうけられる環境を値踏みする事業者と、多くの投資をより良い条件で引き出したい自治体。優位に立てる強いカードは誰が手にするのか。神経戦が始まる。