米経済系ニュース専門局CNBC(電子版)は昨年2月、米IR運営大手ラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長が、1兆円の投資を視野に入れていると伝えた。アンデルソン氏は「究極的なビジネス機会。これに比べれば、シンガポールはウォームアップだ」とも述べ、日本市場に大きな期待を寄せた。
日本第1弾はフラッグシップに
IR実施法では、国内で最大3カ所のカジノを含む施設が認められる。仮に「1兆円」規模の資金が、3カ所のIRに投じられれば、合計で3兆円。この額がいかにすごいか。
総事業費650億円の東京スカイツリー(東京都墨田区)なら46本、1300億円を投じた日本一高いビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)が23棟も建てられる計算だ。日本の一般会計の公共事業費予算の半分に相当。トランプ米大統領が移民流入対策として打ち出したメキシコ国境沿いの壁(全長3100キロメートル)の建設コストとして取り沙汰された額(120億~150億ドル)の約2倍にあたる。
20年代半ばに開業する見込みの第1弾のIRは、日本を代表する象徴的な施設になる。最先端のアミューズメントやセキュリティー技術が盛り込まれ、建設費が膨張する可能性は十分にある。現在、有力なIR候補地とみられる大阪・夢洲(ゆめしま)は、南海トラフ巨大地震の津波被害が及ぶ恐れのあるエリアにもあたり、防災対策も不可欠だ。