「民設・民営」が原則、国はカネ出さず
IRに関して国は法を作り、カジノの規制緩和をして、監督は行うが、カネは出さない。政府の一貫した方針は「民設・民営」の原則だ。IR法の目的は、地域経済の振興の寄与と財政の改善を主眼に置く。
IR事業者は、カジノの粗収入(賭金総額から顧客への払戻金を差し引いた額)の30%を納付金として国に払う義務があり、このうち、IRが立地する都道府県などに15%が入る。
ゴールドマン・サックス証券は、東京、大阪、北海道の各都市圏でIRができた場合、カジノによる粗収入は年間1兆7500億円になると推計する。
これに基づき単純に計算すると、毎年5250億円の納付金が生まれる。ギャンブル依存への懸念などから反対意見の強いカジノだが、IRの経済的な面の効果は大きいとみられている。
駆け引きはこれから
IR法成立により、今後、誘致を目指す自治体同士だけでなく、事業者との駆け引きも水面下で動き出す。
ただ、IR事業者にとって、気がかりなのは、行政から求められる実質的な負担の重さだ。運営リスクが高いと判断すれば、投資意欲が減退する。
IR開業後は、カジノの納付金のほかに、行政から監督を受けるコストも転嫁され、法人税などの課税負担もある。全体の具体的な負担は、計画を策定していく過程で決まる。