TPP、米抜き発効目指す動き トランプ次期大統領に対応、リマAPECで協議も

2016.11.14 22:55

米大統領選で当選が決まり、勝利宣言する共和党のトランプ氏=9日、ニューヨーク(ロイター=共同)
米大統領選で当選が決まり、勝利宣言する共和党のトランプ氏=9日、ニューヨーク(ロイター=共同)【拡大】

 【シンガポール=吉村英輝】米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、見通しが厳しくなった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、米国抜きの発効を目指す動きが出てきた。中国を加えるべきとの声も出ており、日米による通商・安全保障面などでの“中国包囲網”が崩れる可能性もある。参加国首脳は、19日からペルーの首都リマで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、対応を協議する。

 メキシコのグアハルド経済相は10日、トランプ氏が掲げる北米自由貿易協定(NAFTA)見直しに懸念を表明。さらに、TPPが頓挫するならば、発効に米国の批准が事実上必要となる現在の条項について、「各国と変更を協議する必要がある」と語った。

 また、TPP参加12カ国中、日本も含めメキシコやニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、ベトナム、マレーシアの7カ国が年内に協定を批准するとの見通しも示した。

 一方、ペルーのクチンスキ大統領も11日、「米国抜きの(TPPに)似通った協定に置き換えることもできる」とし、中露2カ国も含まれるべきだと語った。

 オーストラリアのビショップ外相は、各国は米新政権にTPP批准を働きかけるべきだと説く一方、TPPが発効しなければ、「生じた空白は(日中韓印など16カ国が交渉中の)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)で埋められることになる」と述べ、地域の通商体制再編で、米国外しの流れが強まると牽制した。

 TPPは関税削減だけでなく、知的財産保護や政府調達などの公正なルールも定めた次元の高い協定。専門家は「経済関係強化と自国の効率性や生産性向上に向け、11カ国はまず米国抜きで再交渉し、TPPを暫定発効してもいいかもしれない」と指摘している。

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