【ワシントン=小雲規生】米紙ウォールストリート・ジャーナルは11日、オバマ米政権が来年1月までのオバマ大統領の任期中に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の議会承認を得るのを断念したと報じた。共和党のトランプ次期大統領はTPP反対を強く打ち出し、上下両院で多数派を維持した共和党指導部もTPPの批准承認手続き入りを否定しており、次期政権が政策を転換しない限り、協定の発効は困難との見方が強まっている。
アディエモ大統領副補佐官は同紙に対し、「共和党のマコネル上院院内総務はTPPの将来について次期大統領と検討するとしている」と述べ、TPP批准は次期政権の課題だと認めた。米通商代表部(USTR)も「最終的な決定は議会が下す」としている。
マコネル氏は9日の記者会見で、オバマ政権下での議会によるTPP承認は「ない」と断言。トランプ氏は大統領選の選挙戦で民主党のヒラリー・クリントン候補を「実はTPP支持派だ」と攻撃し、TPPへの反発が強いオハイオ州やペンシルベニア州などで勝ち、当選を果たしただけに、TPP支持に転じるかは微妙とみられている。