産経は「中国の切り崩しにドゥテルテ氏が態度を翻さぬよう、自由と民主主義の価値観を共有する日本や米国などが支えていくことが極めて重要になっている」と主張するが、その通りだろう。
鍵握る日本の存在
ドゥテルテ氏の訪中を前に英紙フィナンシャル・タイムズは、社説で、氏の「外交的冒険主義へののめりこみ」に警告を発しつつ、その責任は米政府にもあると指摘。「オバマ政権によるアジア重視のリバランス(再均衡)戦略は中途半端で、フィリピンなどの地域の国々の対米忠誠を当然とみなしてきた。米国はこの地域の友好国に、より強いコミットメントの意思を見せる必要がある」と求めた。
米国の次期大統領は、同盟国の不信を招いたオバマ政権の轍(てつ)を踏んではならないだろう。
20年近く前の話になるが、「ワグ・ザ・ドッグ」というハリウッド映画が公開された。日本では「ウワサの真相」と題されたが、原題は直訳すると、「(しっぽが)犬を振り回す」。転じて「本末転倒」「ひょうたんから駒」などの意味で使われる。ストーリーは、選挙を前にした大統領のスキャンダルもみ消しのため、でっち上げた架空の戦争がいつのまにか大事に発展するというブラックコメディーだったと記憶する。
なにやら、今の米比のいさかいを象徴しているようでもあり恐ろしいが、だからこそ米比を取り持つ日本の存在が重要になる。