訪韓客離れにおびえる韓国観光業界に追い打ちをかけるような事態が中国で起きている。中国マネー目当てのオーストラリアのカジノ従業員が中国当局に拘束されたことが、韓国観光産業の柱であるカジノにも影響を及ぼしそうな気配が漂っているのだ。韓国カジノの主要顧客である中国人観光客の足が遠のけば、韓国経済は大きな打撃を受けることになる。
中国当局はこのほど、オーストラリアの富豪で「カジノ王」として知られるジェームズ・パッカー氏が率いるカジノ運営会社クラウン・リゾーツの従業員を中国本土で「賭博犯罪」に関与した疑いで拘束した。中国本土ではカジノが違法で、海外のカジノに誘客しようと、外国人が大人数の中国人顧客を募集する行為も中国国内法上、違法行為に該当する。一方、カジノ各社が自らの施設への旅行を宣伝することは認められている。
中国当局が一斉取り締りに着手した正確な背景は分からないが、中国では汚職が蔓延(まんえん)しており、習近平国家主席は撲滅作戦を大々的に宣伝して展開している。一部ではこうした反腐敗キャンペーンの一環として、中国当局が海外遠征カジノ顧客の取り締りを始めたとみられている。
米系金融機関のアナリストは調査リポートで「身柄拘束は、中国政府が資金の国外流出の規制と汚職撲滅キャンペーンに一段と注力していることと関係がある」とし、「幅広く影響が出る可能性がある」と指摘した。
米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、取り調べを受けているのはクラウン・リゾーツの国際上客部門トップのジェーソン・オコナー氏など18人。オコナー氏率いる同部門はオーストラリアにあるクラウン・リゾーツの施設に大金を賭ける上客を呼び込むことを任務としている。こうした高額賭博客がクラウン・リゾーツにどれほどの影響力を持つかを示すように、同社株は拘束発覚後、軟調な地合が続いている。