中国人旅行客が日本国内の家電量販店や百貨店などで、根こそぎともいえるほどの購買意欲を見せつける姿が「爆買い」として形容されるようになって久しいが、これと同じように中国人が海外でギャンブルに興じる姿も相当な勢いといわれている。一説によると、民俗学的には世界で一番ギャンブルが好きなのは中国人だという。
今回の中国当局によるクラウン・リゾーツ従業員の拘束は、ギャンブル好きな中国人を上客として中国から呼び込もうとする外国企業にはリスクがつきまとうことを改めて浮き彫りにした。とりわけ、戦々恐々としているのは中国から距離的に近いカジノ合法国の韓国だ。
中国で海外カジノ運営会社の従業員が拘束されるケースは今回が初めてではない。韓国大手紙の中央日報(電子版)によると、過去にも韓国人カジノ職員が中国本土で拘束されている。この際、中国当局が顧客名簿を確保して顧客を相手にした調査も行ったとされ、これに伴い、中国人のVIP顧客などが韓国旅行の計画を一斉に取り消したという。
アジア市場の攻略も視野に世界戦略を加速している「カジノ王」も例外なく、中国当局の取り締り対象になったことで、韓国人カジノ職員の拘束時以上に中国人VIPの警戒心は高まるとみられる。中国人VIPは韓国をはじめとする海外遠征カジノに一層慎重になる可能性が大きい。