韓国観光公社の統計によると、8月に韓国を訪問した中国人観光客は87万3771人だった。前月比4.8%減で、中央日報によれば観光シーズンの8月に前月に比べて中国人観光客数が減少したのは最近10年では初めて。
韓国の夏場の中国人観光客が減少したのは、7月に在韓米軍が最新鋭迎撃システム「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」の韓国配備を発表したことに強く反発した中国の動きが影響したとの見方が多い。THAAD配備で中韓関係は冷え込んでいる。
両国の蜜月関係にひびが入る中、ここにきて富裕層を中心に中国人観光客を呼び込む原動力となっている韓国カジノまでが敬遠されてしまうと、韓国観光業には大きな痛手となる。
韓国は早期に年間2000万人の外国人客を誘致することを目標に掲げる。現状では1500万人に満たないが、外国人専用カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を充実させて、一気に引きつける計画。目標数の半数近くは中国人観光客のようで、上客による海外遠征カジノが順調でなければ、この計画の達成はおぼつかない。
サムスン電子のスマートフォン発火問題に続き、現代自動車で欠陥隠しの疑惑が浮上するなど、これまで韓国経済を牽引(けんいん)してきた大財閥系企業の信頼喪失で大きく揺れる韓国。娯楽コンテンツで近隣国を魅了した観光業までが振るわず、後退局面に突入すると、韓国経済は支柱を失い冬の時代を迎えることになりそうだ。(佐藤克史)