解散風、税改革にブレーキ 政府、与党見直し 同床異夢 (1/3ページ)

2016.10.17 06:28

所得税の抜本改革をめぐり、菅義偉官房長官(右上)、佐藤慎一財務省事務次官(左)、自民党の宮沢洋一税調会長(左下)ら政府・与党のキーマンの思惑にはすれ違いがみえる
所得税の抜本改革をめぐり、菅義偉官房長官(右上)、佐藤慎一財務省事務次官(左)、自民党の宮沢洋一税調会長(左下)ら政府・与党のキーマンの思惑にはすれ違いがみえる【拡大】

 政府、与党は2017年度の税制改正で配偶者控除を「夫婦控除」へ転換する抜本的な見直しを断念した。現行制度を拡充する代替案の調整に今週内にも着手する。各方面それぞれの思惑で一時高まった改革の熱気は、首相官邸の慎重姿勢が伝わると、吹き始めた解散風の中で急速にしぼんだ。

 ◆税制調査会の悲願

 「所得税の久しぶりの大改正を考えている。配偶者控除の見直しが一つの柱だ」。自民党の宮沢洋一税制調査会長は8月30日、報道各社のインタビューで「改革実行」を高らかに宣言した。

 かつて首相も立ち入れない聖域とされた党税調はここ数年、消費税増税などをめぐり官邸と対立、敗北を繰り返してきた。積年の課題である所得税改革を成し遂げて税制改正の司令塔として復権する-。これは税調幹部らの悲願とも言えた。

 安倍官邸は女性の活躍を促す「働き方改革」を看板に掲げる。自民党は「政権内で歩調を合わせて活躍できる絶好の機会」(党関係者)と高揚感を漂わせた。茂木敏充政調会長は「来年の通常国会での法改正を目指す」とさらにアクセルを踏み込んでいった。

 だが、所得税をめぐり一枚岩とはいえない財務省の内部事情が改革推進に思わぬ影を落とす。

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