世界的な水不足の解決へ 日本の水処理メーカーが中韓に価格競争で負けている現実 (3/4ページ)


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  • 福岡・新宮町の中央浄化センターの地下式MBR(大熊那夫紀氏提供)
  • 福岡地区水道企業団の海水淡水化センター=福岡市東区(同センターホームページから)

 1980年代後半に登場したMBRは、コンパクトな設備で良好な水質を得られることから、先進国や中国で急速に普及しています。日本の水処理業界も今後、官民連携でこのMBR-ROシステムを世界各地に展開していきたいと考えています。

 「中東のドバイでは、労働者用キャンプから出る生活排水を処理するため、MBR-ROシステムが設置されています。下水のMBR処理とRO処理により、中程度の水質と高度な水質の再生水を製造しています」

 中程度の水質のMBR水はトイレ用水や潅漑(かんがい)用水、高度な水質のRO水は、水道水と同程度の低価格でコンクリート練り水などの産業用水や地域冷房用の補給水として販売されています。

 「あまり知られていませんが、中東の国々には、汚水をタンカーで運んで投棄し、湖のようにたまった“下水湖”が何十カ所も存在します。アラブ首長国連邦の“下水湖”の処理に、日本の大手水処理メーカーと現地法人の合弁会社が開発したMRBシステムが導入されましたが、信頼性の高い運転管理で、次の引き合いも来ています」

 水再利用の世界市場は、中東や北アフリカで需要が拡大しており、2016年は09年の4倍の8000億円を超すと見込まれています。米国や中国でも設備投資が活発化しています。

水再利用の国際標準化

 日本の上下水道インフラ市場は2000年をピークに縮小し、新しいマーケットは日本にはほとんどありません。そのため、国内の水処理メーカーは海外に活路を求めることになります。

日本製品は使えば良さが分かるが…中国や韓国企業に価格競争で負けている