南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定を「紙くず」と全面否定するなど、国際的な法や秩序を無視した振る舞いが目立つ中国との蜜月関係を転換する動きが加速している。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備を決めた韓国に恫喝まがいに撤回を求め、北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐる国連安全保障理事会の非難声明は中国の反対で発表が見送られた。こうした態度に韓国では「本末転倒だ」との声があがり、英国やオーストラリアでもインフラ事業などへの中国資本進出を見直している。
THAADで韓国を目の敵
「極めて遺憾だ」
韓国外務省当局者は、北朝鮮の8月3日の弾道ミサイル発射に対する国連安保理の非難声明の発表が見送られたことに不満の意を表明した。
安保理外交筋によると、日米はミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した事態を重視し、北朝鮮に強い圧力をかける内容の非難声明を準備していた。
ところが中国がTHAADの韓国配備を念頭に「北東アジアにいかなる迎撃ミサイルも新たに配備すべきではない」「全ての関係者は挑発や緊張を高める行為を避けるべきだ」などの趣旨の文言を盛り込むよう要求、最終的に交渉が決裂した。