日銀は12日、11月1日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2017年度の物価上昇率の見通しを下方修正する検討に入った。前回公表の7月末時点では上昇率を1.7%で据え置いたが、円高基調や個人消費の伸び悩みなどの影響を勘案し、1%台前半を軸に調整する。市場では、日銀がこれまで17年度中と説明していた2%の物価目標の達成は困難との見方が強まっており、達成時期の見通しが変更される可能性もある。
8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0.5%下落。原油安が響き、6カ月連続で前年実績を下回った。9月の企業の物価見通しも、全規模全産業の1年後の消費者物価予想が平均で前年比0.6%上昇と前回6月調査から0.1ポイント下落するなど、足元の物価上昇期待はしぼんでいる。
7月の展望リポートでは、16年度の上昇率見通しを4月時点の0.5%から0.1%に引き下げた一方、失業率の低下や政府が打ち出した大型経済対策の効果などもあり、物価上昇基調は崩れないとして17年度の見通しは据え置いた。
実際に物価上昇率を下方修正した場合には、追加の金融緩和に踏み切る可能性もあるが、大統領選を控えて米国の金融政策の行方が不透明な中、経済アナリストからは「効果は薄い」との指摘もある。