一方、政府税調は所得税が働き方や家族のあり方が多様化する今の社会実態にそぐわなくなったことを踏まえ、税負担を軽くする控除制度全体を見直す提言を11月にもとりまとめる。提言は与党の税制改正議論の材料にもなる。
専業主婦やパートで働く妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から38万円を差し引く配偶者控除は、夫婦であれば妻の収入にかかわらず一定額を夫の税額から差し引く「夫婦控除」に見直す検討をする。配偶者控除が女性の働き方を制限しているとの指摘から、見直しを通じて女性の社会進出の後押しを狙う。
麻生太郎財務相はこれに理解を示す一方で「家事をする奥さんの労働が無価値というのがおかしい」と多様な角度から丁寧に議論すべきだとしている。税収減を防ぐための年収制限導入などが議論されるが、自民党の二階俊博幹事長は「専業主婦世帯に大きな負担にならないよう考慮すべきだ」との注文もつくなど、制度設計上の課題は山積している。(万福博之)