温暖化対策計画めぐり応酬 規制先行の環境省に神経尖らせる経産省と産業界 (1/3ページ)

 2050年以降を見据えた地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」の発効が近づく中、日本でも長期戦略の検討が本格化している。環境省は温室効果ガスの削減を日本人のライフスタイルや経済・社会構造の変革にまで結び付けようとの姿勢。一方、経済産業省や産業界は規制的政策が先行することを警戒する。実効性のある対策の在り方をめぐる駆け引きが盛り上がってきた。

 「従来と同じ対策ではとても達成できない。あらゆる分野の方々の知恵、施策を総動員する」。第3次安倍晋三再改造内閣で初入閣した山本公一環境相は、フジサンケイビジネスアイなどのインタビューに対し長期戦略の策定に向けた意気込みを語った。

 閣議決定した「地球温暖化対策計画」では、50年までに温室効果ガス排出量を現在より80%削減する長期目標を盛り込んだ。実現に向けた切り札として環境省が期待するのが、炭素に価格を付け、市場メカニズムに基づいた取引で二酸化炭素(CO2)排出を抑制する「カーボンプライシング」だ。

 石炭や石油といった化石燃料の使用に税金をかける「炭素税」や、企業に一定の排出枠(温室効果ガス排出量の限度)を設け、余裕のある企業が達成できない企業との間で排出枠を売買する「排出量取引制度」などがその代表例といえる。

 山本氏も「経済的インセンティブ(動機付け)の大きさを考えれば十分検討する必要がある」と述べる。

「地球規模の温暖化対策にむしろ逆行する」