政府・与党が28日まとめた経済対策の原案は、若者や低所得者層への配慮を重視し、大企業重視だったアベノミクスの変化を印象づけた。ただ、公共事業への依存色が強く、政府は「21世紀の列島改造」と期待するが、建設業界が人手不足に悩む中、事業の選択と集中を進めなければ手抜き工事や工期の長期化を招き、無駄な箱物が積み上がりかねない。
経済対策案は、主要分野の筆頭に「1億総活躍社会の実現の加速」を掲げ、保育・介護人材の処遇改善や給付型奨学金の創設など、「分配」を重視する姿勢を示した。成長力の底上げに向け改革を進めるためで、野党・民進党が重視してきたテーマを奪った格好だ。
ただ、分野別の事業規模は、インフラ投資がより巨額になるとの見方が有力だ。安倍晋三首相は27日の講演で「投資なくして成長なし」と強調。石原伸晃経済再生担当相は同日出演したBSフジの番組で、「(インフラ整備の事業費は)大きい」と述べた。
メニューをみると港湾、空港、鉄道、道路など、公共事業の“鉄板メニュー”が並ぶ。石原氏は「リニア計画で開発される近隣の土地(の取引)が動き出すし、道路をつなげば経済圏が拡大する」と指摘する。