【ワシントン=小雲規生】米格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、英国債の長期信用格付けを最上位の「トリプルA」から「ダブルA」に2段階引き下げた。英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が選択され、英国経済の予測可能性や安定性などが低くなったことを理由に上げている。
今後の見通しは、「ネガティブ(弱含み)」に据え置いた。将来的に英国の通貨ポンドの地位が低下したり、スコットランド独立を求める動きが高まって国家としての統一が揺らいだりするリスクを考慮した結果だと説明している。
S&Pは国民投票の結果もたらされた経済の先行き不透明さが投資や経済成長、英国政府の資金調達などに悪影響を与えると分析。「英国のEU離脱で英国の経済活動が悪化する可能性がある」と指摘した。
英国の2016~19年の実質成長率見通しについて、4月時点の年平均2・1%から年平均1・1%に下方修正した。
一方、欧州系格付け会社のフィッチ・レーティングスも27日、英国債の格付けを「ダブルAプラス」から「ダブルA」に1段階引き下げた。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日に英国債の格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げている。