WTTCのスコーシル最高経営責任者(CEO)はCNNマネーの取材に対して、中国人は世帯所得が約3万5千ドル(約396万円)になると海外旅行を始める傾向がみられると分析している。2003~13年の間にこの所得規模を超えた世帯数は約2100万で、23年までには新たに6100万世帯が加わる見通しという。
このペースが続けば、海外旅行する10人のうちの1人どころか、5人に1人が中国人という事態も起こりうる。一方で中国の国家統計局は、同国内の出稼ぎ労働者総数の約1%に当たる270万人以上が昨年、期日通りに報酬を受け取っていなかったとの実態を報告した。CNN(電子版)によれば過去5年で最悪の水準で、格差は広がるばかりだ。
まずは近場で様子見、そして冒険に出る
CNNは、中国人の初めて海外旅行の目的地はアジア地域が多いと指摘する。最初はアジアの近場で気軽に行ける場所を選んでいるのだろう。韓国紙、中央日報(電子版)によると、今年のメーデー連休に中国人観光客が最も多く選んだ海外旅行先はソウル・バンコク・東京の順だった。また中国の国家余裕局(韓国の観光公社)はこれらの都市に加えて、台北・香港・シンガポール・プーケット・済州道(チェジュド)・バリ・大阪を今年のメーデー連休10大旅行先として集計したと、中国新聞網(電子版)が報じている。余裕局は中国人観光客がこれらの都市を選んだ理由として、5時間以内の短い飛行時間と相対的に便利な意思疎通を挙げた。