ネット通販では、他にも送り手による過剰なサービスが目につく。例えばわざわざまとめて注文した買い物で、通販会社側が品物の入荷順に複数の便に分けて送ってくる場合。不在・再配達が自動的に生み出されかねない事例だ。これも投函などが活用できれば、問題は軽減できよう。
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とはいえメール便事業には、大きな問題が横たわる。民間最大手だったヤマトホールディングス(ヤマト運輸)が15年3月をもって、メール便事業からほぼ撤退した。ネット通販でのメール便活用で、水を差された雰囲気が漂う。
理由は、総務省による規制だ。手紙や契約書などは「信書」といい、民間事業者の参入は厳しく規制されてきた。ヤマトは宅配便参入以降、規制緩和を求めたが改善されず、「顧客に迷惑をかけられない」と撤退を決めた。
ヤマトはこの代替サービスとして、小型宅配便を提供したが、料金が高く、評判はいまひとつ。顧客は主に日本郵便に流れた。ヤマトの16年3月期連結決算はこの撤退劇が響いて営業減益になった。
日本郵便も民間企業になったいま、「信書問題」がいつまでもメール便、ひいては宅配便事業の妨げになっていてはいけない。再配達問題に切り込んだ勢いで、国交省が総務省にかけあい、解決の突破口を導き出してくれれば頼もしいのだが。
(SankeiBiz編集長・高原秀己)