内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査と消費動向調査は、足元の景気実感や消費者心理を示す指標が3カ月ぶりに改善し、一服感が広がった。春休みの旅行増でサービス業が潤うなど季節的な好材料があったためだ。ただ、2~3カ月先の景気を占う判断指数が2カ月連続で悪化するなど、中国経済の失速や金融市場の混乱への不安から、消費者心理の弱さが続いている。
景気ウオッチャーでは、街角の景気実感を示す現状判断指数が前月比0・8ポイント上昇の45.4となり、3カ月ぶりに改善した。基調判断は「このところ弱さがみられる」で据え置いた。
旅行などのサービスや飲食は改善。小売りは「消費者の財布のヒモが固く百貨店やスーパーがさえない」(内閣府)ため0.4ポイント悪化した。
先行き判断指数は1.5ポイント下落の46.7と悪化。中でも小売りは2.0ポイントと大きく落ち、「株価低迷などで富裕層の購買意欲に陰りが見える」(中国の百貨店)などの声が上がった。
一方、3月の消費動向調査は、消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月比1.6ポイント上昇の41.7と3カ月ぶりに改善した。春闘で大企業の賃上げが相次いだことが追い風だが、内閣府は「生活防衛のための節約志向がなくなったわけではない」としている。