地銀は大手行に比べ、海外融資や手数料収入の比率が低いため、影響が大きくなるという。信州大の真壁昭夫教授は、「大手のように海外展開ができず、その地域にしか基盤がない金融機関は苦しい」と指摘する。
運用難による収益悪化を避けようと、各行は預金を増やさないようにするため、定期預金の金利を引き下げ始めた。京都銀行(京都市)や中京銀行(名古屋市)、九州フィナンシャルグループ傘下の肥後銀行(熊本市)など、全国各地で見直しの動きが相次ぐ。
一方で、攻めの動きも出てきた。熊本第一信用金庫(同市)は、通常より金利を引き上げた新たな個人向け定期預金の取り扱いを10日に始めた。ただ、限られた顧客をめぐって競争が過熱する可能性もある。
もし消耗戦になれば、高収益を求めて、リスクの高い外債や不動産向け融資などに投じる資金を増やす恐れもある。そこで損失を出せば、財務体質の悪化も進みかねない。
金融庁は危険な運用をしないか監視をしつつ、地銀に対し企業の事業支援を通じて新たな資金需要をつくるよう促す構えだ。ただ、ある地銀の幹部は「企業の資金需要を掘り起こすのは難しい。じり貧の状況だ」と困惑している。