日本郵政グループ3社の上場で注目された初値はいずれも売り出し価格を上回り、株価は終日堅調に推移するなど、NTT以来の大型上場は順調な滑り出しとなった。主な売り出し先である国内の個人投資家からの人気を改めて示した形だ。初めて株式を買った人も少なくないとみられ、個人投資家の裾野が広がり証券市場の活性化につながるとの期待が高まる中、今後の値動きが焦点となる。
「予想以上に上昇した。買いが多かったというよりも、売りが少なかった。中長期で保有したい個人投資家が多かったようだ」。4日の郵政3社株の値動きについて、SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストはこう分析する。初値に基づく時価総額は、ゆうちょ銀行の7兆5600億円(自己株式を除くと6兆2991億円)を筆頭に3社とも大規模となった。
3社株の終値は、売り出し価格を15~56%も上回った。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「抽選に外れて売り出し株を買えなかった個人投資家の買いや、上場直後の荒い値動きに着目した短期資金の買いなどがあったのではないか」と指摘する。
高いパフォーマンスを求める機関投資家にとっては「郵政3社は成長余地が限られ、決して魅力的ではない」(市場関係者)。これに対し、抜群の知名度や高い配当利回り、割安感に目を付けた個人投資家の買いが主導したとみられる。