実は、国際オリンピック委員会(IOC)は10年、世界保健機関(WHO)と「たばこのないオリンピック」推進で合意。08年北京大会以降、五輪開催地の公共施設、飲食店では禁煙とする法律などの規制が実施され、違反者には罰則も設けられるという慣例が定着している。
一方、国内の環境整備は進んでいない。02年に制定された健康増進法には罰則規定がなく、受動喫煙対策は努力義務にとどまる。また、罰則付きの条例の是非を議論してきた東京都の検討会が5月にまとめた提言でも、受動喫煙防止の条例制定の必要性に踏み込まず、「(条例より)法律での規制を働きかける」として、国に対策を丸投げした格好となっている。このままでは、東京五輪で「たばこのない五輪」が途切れるのは必至だ。
そんな中で突如、ぶちあげたたばこ税強化の狙いについて、文科省は「スポーツによる健康増進を図るにあたり、たばこの消費抑制が基盤となる」と強調する。実際、文科、厚労の両省が期待する「増税による消費抑制」は一定の効果が見込まれる。