温暖化交渉、日本主導権の切り札 「2国間クレジット」海外削減分も算入可能 (5/5ページ)

2015.6.18 06:40

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)【拡大】

 「日本の優れた環境技術は対中国を含む国際社会で大きな武器になる」(経済官庁幹部)。JCMを上手に生かしながら日本の存在感向上につなげる取り組みが求められそうだ。(田辺裕晶)

 ■2国間クレジット制度の合意国と補助事業、事業化調査など(年月は合意時期)

 ◆モンゴル

 ・2013年1月 高効率熱供給ボイラーの集約化

 ◆バングラデシュ

 ・3月 工場設備冷却、高効率火力発電

 ◆エチオピア

 ・5月 バイオエタノール製造プラント

 ◆ケニア

 ・6月 太陽光・水力発電

 ◆モルディブ

 ・6月 太陽光発電、中型の風力発電

 ◆ベトナム

 ・7月 鉄鋼産業や船舶操業の省エネ化

 ◆ラオス

 ・8月 コンテナ型のデータセンター

 ◆インドネシア

 ・8月 工場空調やコンビニの省エネ

 ◆コスタリカ

 ・12月 太陽光発電

 ◆パラオ

 ・14年1月 小規模太陽光発電

 ◆カンボジア

 ・4月 高効率の発光ダイオード(LED)街路照明

 ◆メキシコ

 ・7月 商業・産業部門の省エネ化

 ◆サウジアラビア

 ・15年5月 太陽光・複合ガス火力発電

 ◆チリ

 ・5月 高効率の発電技術

【用語解説】2国間クレジット制度(JCM)

 日本が独自に考案し、途上国に導入を呼びかけている温室効果ガス削減に向けた制度。関連技術や省エネ製品などを途上国に供与し、その排出削減効果を両国間で分け合う仕組み。実施企業に対し政府が初期投資の半分を補助する代わりに、削減量の半分を日本の実績として算入できる。(1)第三者認証の手続きが容易(2)日本が得意とする省エネ技術を対象にしやすい-などの面で優れている。

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