温暖化交渉、日本主導権の切り札 「2国間クレジット」海外削減分も算入可能 (1/5ページ)

2015.6.18 06:40

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)【拡大】

 国連気候変動枠組み条約事務局に提出する日本の温室効果ガス削減目標がようやくまとまった。政府は2030年度に排出量を13年度比で26%削減する目標を了承。安倍晋三首相は今月上旬にドイツで開かれた主要国首脳会議(サミット、G7)で表明し、日本の正式な国際公約になった。この目標を達成するため、海外に環境技術を提供する見返りに削減分を日本側に算入できる「2国間クレジット制度(JCM)」の活用を広げる考えだ。日本はこれまで東日本大震災による原発停止もあって、温室効果ガスの削減が思うように進まず、温暖化をめぐる国際交渉の主導権を握れずにいる。日本が提唱するJCMは、この現状を打開する“切り札”として期待を集めている。

 日本独自の制度

 環境省幹部は「JCMは日本が温暖化交渉で主導権を握れる唯一のカードだ」と胸を張る。

 日本が提出する目標は、原発の再稼働を進める電源構成の見直しや省エネ対策などにより、30年度時点の温室効果ガスを二酸化炭素(CO2)換算で13年度に比べ3億6600万トン少ない10億4200万トン。JCMは日本独自の制度のため直接数値目標には盛り込まなかったが、「獲得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントする」と明記した。

見込まれるCO2削減量は30年度までの累積で5000万~1億トン

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