温暖化交渉、日本主導権の切り札 「2国間クレジット」海外削減分も算入可能 (4/5ページ)

2015.6.18 06:40

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)

JFEエンジニアリングが廃熱利用発電設備を導入するセメント工場=インドネシア・トゥバン市(同社提供)【拡大】

 世界標準の期待

 JCMの使い勝手のよさには先進各国も注目している。3月にロンドンで開かれた世界銀行市場メカニズム準備基金(PMR)の会合で、環境省幹部はドイツの参加者に「JCMはポストCDMになるのではないか」と耳打ちされた。同国や豪州などが同様の枠組みを構築できないか検討しているもようだ。

 今後、国際的な枠組みに発展し、「日本が世界のスタンダードを築けるかもしれない」(同幹部)とみられている。温暖化対策にとどまらずアジアインフラ投資銀行(AIIB)をてこに豊富な資金力でアジアの主導権を握ろうとする中国への対抗手段としても期待されている。

 経済産業省は近く産業界が一体で取り組む協議会を立ち上げ、質の高いエネルギーインフラの輸出を加速する構え。AIIBと競合するアジア開発銀行(ADB)との連携も強化する。

 こうした中で、JCMはすでにセメント工場の廃熱利用発電(JFEエンジニアリング・インドネシア)や、オフィスビル向け太陽光発電の導入(NTTデータ研究所・マレーシア)など、アジアを中心にさまざまなインフラ事業を創出している。

「日本の優れた環境技術は対中国を含む国際社会で大きな武器になる」

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