共産党政権内の考えが、李首相らが訴えてきた構造改革優先から、習近平国家主席や江沢民元国家主席らの既得権益派が求めている成長優先に逆戻りしたとすれば、今回の利下げを皮切りにした金融緩和サイクルと、さらなるインフラ投資など大型景気対策による拡大路線回帰のシナリオが描かれた懸念もある。
利下げ局面に入って人民元の為替相場が今後下落し、国際社会から再び元安への批判が強まっても、逆に輸出促進に好都合だとして黙認するとの見方も出始めている。
政権発足直後、肥満体の中国経済を筋肉質に変え、安定成長への軟着陸をめざした構造改革を進める「李克強経済学(リコノミクス)」に国際社会の注目が集まった。
その行方は、12月の経済工作会議で明らかになるだろうが、利下げに続く政治主導型の不動産価格引き上げ策が打ち出されるとすれば、構造改革路線への期待感はここで打ち砕かれることになる。