ただ、中国の景気不景気を如実に語る不動産市況の下落を考えれば、実際はさほど意外な時機ともいえない。
中国国家統計局が発表している新築住宅の価格指数(低所得者向けの公共性の高い住宅を除く)は、昨年から描く下降カーブが急峻(きゅうしゅん)になっている。都市別の住宅価格指数は今年9、10月とも主要70都市のうち69都市までが下落。公式の統計数字ではつかみきれない不動産市況の実態は、さらに厳しい情勢にある。
需給バランスを無視した供給過剰が原因の不動産不振だが、利下げ発表の翌日、証券アナリストは、「政策金利と不動産の市況はリンクしている」と解説してくれた。
中国の過去2回の利下げ局面をみると、12年も08年も住宅価格指数の急降下で警報が鳴り、その後、利下げによる資金循環で市況が回復に向かったことが読み取れる。