ウクライナ問題ではヌーランド米国国務次官補とパイアット在ウクライナ米国大使との通話記録(「ファックEU」発言)が動画投稿サイト「ユーチューブ」で暴露されたが、米国が欧州連合(EU)の頭ごなしにウクライナの内政にまで関与していることが問題だった。少なくとも現地の民主的な選挙で選ばれたヤヌコビッチ元大統領を追い出したのだ。さらにその後の暫定政権の一角を占める極右勢力はロシア語を公用語からはずそうとさえした。民主主義の観点からも「ロシア=悪役」ではなかったのである。
さらに国際通貨基金(IMF)によるウクライナ政府への財政支援が入ると、財政再建のためにウクライナの公務員の給与や退職者の年金は削減されるという。ソ連解体時にたまたまウクライナにいたロシア人(言語的な意味で)にしてみればたまったものではない。ここでも「東側=貧しい」の関係ではなかったのだ。
ロシアではクリミア併合以降、欧米の本格的な経済制裁が発動される前に、民間資本の逃避からルーブルが下落し株式市場も暴落している。既に景気に影響が予想されリセッションの懸念さえ出始めている。経済合理性から考えればクリミア併合やその後の行動は価値のないものだ。しかしプーチン大統領は今後も引く構えをみせず、「ロシアの尊厳を回復する」と述べている。これを支持する国民も同じ考えではないだろうか。ロシアの強硬姿勢をプーチン氏の性格に帰するのは早計だ。