一方で「顧客との付き合いを続けるためには避けられない」(製造業)、「孫請けなので一部しか転嫁できない」(サービス業)といったように、取引先の圧力などを感じて転嫁を見送る事例もあった。
巧妙な手段に警戒
中小企業庁の転嫁Gメンが指導した事例では「海外製品と比べたいので(下請け)価格の見積もりは税込みの総額でしてほしい」と暗に値下げを求めたり、「増税に伴う値札の付け替えのため従業員を派遣してほしい」と要請して別のコストを押しつけるケースがあった。手段が巧妙化しており、同庁は「潜在的な違反企業は、まだある」(事業環境部取引課)とみている。
また、増税後は「消費税分を差し引いた減額請求や協賛金を中小企業に求める行為が懸念される」(内閣府)。転嫁が円滑に進まなければ中小企業の業績改善が進まず、景気を冷やす要因の一つになる恐れもある。