麻生太郎財務相は4日の閣議後会見で、企業が赤字決算となった場合にその額を翌期以降の黒字から差し引ける「繰越控除制度」の縮小を検討するという一部報道について「検討している事実はない」と否定した。繰越控除を縮小すると企業の税負担が増えて法人税収が増える。
同制度の見直しなど課税ベースの拡大を含めた法人税改革は政府税制調査会が月内に議論を再開する予定。麻生氏は会見で「法人税のあり方についてはまずは政府税調において検討してもらう」とし、甘利明経済再生担当相も同日の会見で「(政府税調の)議論を見守りたい」と述べた。
繰越控除制度は、現行では最大9年にわたって赤字を繰り越せ、大企業では各年度の黒字額の8割までを差し引ける。課税対象額が減るため、法人税負担が軽くなる。
日本の法人実効税率は35・64%と、20%台のアジア各国に比べて割高で、経済界が引き下げを強く求めるほか、安倍晋三首相も見直しに意欲を示している。