地方主権と言っても、単に廃県置州といった単純な行政権限の移行だけではなく、大企業が地方にもっと目を向けるべきではないかと思います。
トヨタやホンダ・ヤマハが東海を活性化し、コマツが石川県回帰を図っていることなどがよきモデルになります。コマツの坂根相談役の言によると、石川工場の従業員は、同じ賃金体系でも大阪工場や北関東工場よりはるかに良い生活ができているそうで、たとえば社内既婚女性の子供の平均数を調べたところ、東京本社0.7、大阪や北関東が1.3~1.5なのに比べて、石川は1.9にもなり、管理職の女性に限ると2.6にも跳ね上がったようです。これこそ、少子化と労働力不足問題の一挙解決策になりそうです。日本の大企業が溜め込んだ60兆円もの手元資金を、自社や地方のベンチャー起業に活かしていただくのも、地方活性化に貢献してくれそうです。
唯一の心配点は電力コストの高騰です。地震国トルコは「巨大地震に耐えた日本の原発技術力と経験を信じて購入したい」と、津波被害の福島第一と耐震性を証明した福島第二や女川原発を正しく評価してくれましたが、国内の評価はそうではありません。原子力規制委員会の不作為、日本のマスコミの自虐的偏向報道、小泉元首相の“寝言”のごとき脱原発主張…。こうしたことが、今後の産業成長の鍵となる原発再稼動を遅らせることのなきよう祈るばかりです。(上田和男)