安倍晋三首相は15日の所信表明演説で、消費税増税とセットで打ち出した経済対策の実行により「強い経済を取り戻す」と経済再生に向けた意気込みを改めて強調した。ただ政権が目指す日本経済の再生とデフレ脱却の両立は、経済対策の効果が、雇用の増加や賃金上昇に結びつく「好循環」の実現抜きには難しく、政権の経済政策「アベノミクス」の真価が問われる。
政権が臨時国会での成立を目指す「産業競争力強化法案」などの経済対策の最大の目的は、企業減税で税負担が軽くなった企業が、その恩恵を雇用や賃金に反映させること。それにより、家計が改善し消費も持ち直すことで、企業収益が高まり、結果的に税収増、財政再建が進むという好循環を目指しているからだ。
安倍首相は、このサイクルを確立させる上で「雇用を拡大し、収入を増やす」ことを最重視している。減税で企業の税負担が軽減されても、雇用や賃金に恩恵が及ばなければ、持続的な景気回復は難しいためだ。