ただ、賃上げの可否は各企業経営者の裁量に委ねられている。そこで、安倍首相は賃上げの手立てとして、「政労使の連携」を強調。経済界と労働界で立ち上げた「政労使会議」を通じ、改めて賃上げを呼びかける姿勢を打ち出した。
とはいえ、賃上げのハードルは決して低くない。企業はコスト増につながる基本給などの引き上げに慎重だからだ。実際、基本給など所定内給与は8月までに15カ月連続で減少している。内閣府の試算では来年4月に消費税率が8%になれば全世帯の支払う消費税は6.3兆円増える。賃金が増えなければ増税に伴う消費への悪影響は避けられない。演説で「実行なくして成長なし」と繰り返した首相。企業が安心して賃上げできる経済環境づくりを含めて、企業の意識をどれだけ変えられるか。実行力がカギを握る。