資金調達、新興企業成長の足がかりに
将来のIPOを目指す新興企業の経営者らを集めて行うセミナーについては、昨年1年間の開催は30回だったのに対し、今年は3月までにすでに20回行うなど、上場誘致の活動を強化している。
デフレ脱却の推進力となるべき消費拡大には、賃金の上昇だけでなく、牽引(けんいん)される雇用確保も重要だ。
日本取引所の斉藤惇最高経営責任者(CEO)は「失業を吸収するのに最も強力な方策は、新興企業の創出だ」と強調する。IPOの増加は、株式市場の活性化だけでなく、資金調達で新興企業が一段と成長する足がかりにもなる。
とはいえ、08年以前はIPOは年100社超が普通で、00年には203社が実施しており、活発だった時期との差はまだ大きい。初値が高かった企業の株価も、その後は軟調になることが多く、短期的な利ざやを狙った資金が多いとみられる。日興の渡辺部長は「初値の高さより、半年、1年経って市場に評価されていることが重要だ」と指摘している。(高橋寛次)