参加者のアンケートをみても「知らない技術だったのでとても面白かった」との声が多い。ただ、生地再生の伝統は世界各地にあり、この十和田と同じように生地を裂く地域もある。ワークショップを主宰する佐野里佳子さんによれば、織り方に地域差がある。いずれにせよ「日本だから」ではなく、「興味深いテクニック」が参加者の関心の的になっている。
ぼくはワークショップをみながら、都会をマーケットにした「地域活性化」や「伝統技術の継承」だけでなく、マス市場そのもののビジネスにも貢献すると思った。二つの観点が考えられる。
一つは大量生産製品のカスタムメイド化への対応である。市場からの要求は細分化される一方だ。「自分だけのモノ」が欲しい。全てがお仕着せで用意されることには欲求不満を感じる人たちがいる。最近話題の3Dプリンターの活用も、この文脈で語られたりする。
が、自分のために本当にゼロから作り上げることは容易なことではない。量産あっての高品質という部分もある。とするならばメーカーが半完成品を提供し、購入者が最後に好みに従って仕上げるシステムが充実されていくのが良いのではないか、とのアイデアがでてくる。
例えばこの裂き織りであれば、ファーストファッションや家具との組み合わせが考えられる。