配偶者控除は「150万円」が軸 自民税調、夫の年収制限は段階的

 

 自民党税制調査会は23日、非公式幹部会を開き、平成29年度税制改正の焦点である配偶者控除見直しについて、妻の年収要件を現行の「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げる案を軸に調整を進める方針を決めた。控除を受ける夫の年収が「1120万円超」の世帯に制限を設ける方向で調整する。夫の収入が一気に減らないよう年収に応じて控除額を段階的に減らす案も導入する方向だ。

 配偶者控除は妻の年収が103万円以下であれば夫の所得から38万円を差し引ける仕組み。減税の恩恵を受けるために、年収が103万円以下になるようパート主婦らが労働時間を抑えるケースが多いとされる。

 自民税調はこの日、政府がまとめた配偶者控除見直しに伴う増減税の影響の試算を踏まえ、年収要件を150万円以下と130万円以下に引き上げる案を検討。パート主婦らが今よりも長く働く余地が増えたことを実感できるように、年収要件を150万円以下に引き上げる意見が大勢だった。

 その場合、税収減を避けるために控除を受けられる夫の年収に制限を設ける必要がある。ただ、一定の年収を超えた段階で一気に控除の適用外になると、世帯の手取りが急減するため、段階的に控除を減らす緩和措置を検討する。

 財務省の試算では、妻の年収要件を150万円以下に上げると、300万世帯強が減税になる一方、100万世帯は増税になる。妻の年収要件を130万円以下に引き上げる案では夫の年収が1320万円超の世帯は控除を制限する必要があり、300万世帯弱が減税、60万世帯が増税になる見通しだ。

 一方、公明党税調もこの日、非公式幹部会を開催。増税になる世帯の反発を見据え、慎重な意見もある。