政府税調、配偶者控除の見直しに着手 「夫婦控除」への転換軸、11月めどに見解
政府税制調査会は9日、首相官邸で総会を開き、専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」を見直す検討に着手した。夫婦であれば、配偶者の働き方や年収を問わずに適用する「夫婦控除」への転換を軸に議論を進める。11月をめどに見解をとりまとめる方向だ。
総会の開催は約4カ月ぶり。政府税調の見解は、与党税制調査会による平成29年度税制改正議論の材料になる。安倍政権が進める「働き方改革」を追い風に、女性の就労を阻む壁をなくす。実現すれば、約20年ぶりの所得税の大改正になる。
配偶者控除は妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から38万円を差し引ける仕組み。夫婦であれば、妻の収入にかかわらず一定額を夫の税額から差し引く夫婦控除に見直す案が有力視される。
夫の年収が一定額以上の世帯は対象から外すことなども検討する。所得が高い専業主婦世帯は今よりも税負担が増える見通しで反発が予想され、与党内には慎重論もある。
政府・与党は、働き方や家族のあり方が多様化する経済社会の実態に現行の所得税体系がそぐわなくなったことを踏まえ、配偶者控除を皮切りに、所得税の税負担を軽くする控除制度全体を数年かけて見直す方針だ。
政府税調ではこのほか、企業が日本より法人税率の低い国につくった子会社を利用した課税逃れへの対策強化などについても議論する。
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