企業が地方創生につながる自治体の事業に寄付すると税負担が軽減される「企業版ふるさと納税」が今月、本格的に始動した。政府は第1弾として全国87自治体の102事業を対象に認定。寄付の返礼品で競う個人版ふるさと納税とは違い、企業版は見返りが禁止されており、寄付金の使い道である地域活性化策をいかに魅力的な計画に仕立てるかが、民間資金を呼び込むための鍵になる。
個人版は個人が好きな自治体に自由に寄付できるが、企業版は政府が地方創生につながると認めた自治体の事業が寄付の対象だ。もともと寄付額の約3割の税負担を軽減できる制度はあったが企業版の創設で軽減額を2倍の約6割に拡大した。
今回、対象に認定されたのが、北海道夕張市の児童館や図書館などの複合型拠点施設を整備する事業や、秋田県湯沢市の温泉水を利用して農業用ハウスを整備する事業などだ。
また、福井県、鳥取県、徳島県、長崎県の4県がそれぞれ提出した地元に戻ったり移住して県内に就職する若者に対して奨学金の返還を支援する事業も選ばれた。
しかし、「申請は想定より少なかった」と内閣府の担当者は語る。東京都などの一部の大都市を除くほとんどの自治体が対象だが、申請自治体は89、事業件数は105件にとどまった。