コンクリ上の植物工場も「農地」に 参入促進へ減税、政府検討

 

 政府がコンクリートの土地に屋内で農産物を生産する植物工場を設置した場合、その土地を農地として認める農地法の改正を検討していることが29日、分かった。今年度内に国家戦略特区内での改正法の導入実証に向けた協議を進め、具体的な内容を詰める。コンクリートの土地を固定資産税が安い農地に認定することで生産コストを引き下げ、企業の農業参入や収益向上を促す狙いだ。

 現在の農地法では、農地は「耕作の目的に供される土地」と定義されており、作物の育成を助けるための耕耘(こううん)や整地、施肥、除草などが行われていることが条件となっている。そのため、コンクリート舗装した状態の土地は耕作できない土地と見なされ、農地には認定されない。

 ただ、ITや室内栽培などの技術発展で太陽光や土を使わずにコンクリート上でも野菜の生産が可能になり、そうした土地も農地として認める特例措置の必要性が政府内外で指摘されていた。既に大阪府岸和田市が、車いすの障害者らが農作業をしやすいよう、コンクリートを敷いた土地も農地として認める特区の設立を政府側に提案。今後も協議を進める予定だ。

 植物工場は季節や天候に左右されず、農産物の形や重さなど品質や規格を統一化でき、糖度や栄養成分を調整した栽培が可能だ。だが採算性が課題で、空調や電気代がかさみ露地栽培の2倍以上のコストがかかるため、工場の約6割が赤字と試算される。固定資産税の算出基準となる評価額(2015年度の全国平均)は一般の田畑が1平方メートル当たり30~100円なのに対し、工業地は約1万5000~4万円と大きな差がある。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に備え、耕作放棄地の拡大や担い手農家不足などの課題を抱える国内農業は競争力の強化が急務だ。植物工場は、そうした課題解決に貢献するとも期待される。