新潟市で開かれた先進7カ国(G7)農相会合は24日、農業生産を強化する行動計画を盛り込んだ共同声明「新潟宣言」を採択して閉幕した。女性の参加拡大や気候変動の研究を進める国際会合を早期に開くほか、家畜の疾病予防に向けた新たな枠組みを年内にも創設するのが柱だ。
各国とも生産者の高齢化などを背景に農業基盤が弱まる懸念を抱えており、世界の需要が増加する食料の問題に対し、連携して対応する。
議長を務めた森山裕農相は、閉幕後の共同記者会見で「農業者の高齢化や気候変動への対応など世界の食糧安全保障を確保する上で、重要な課題解決にG7が連帯して取り組む。力強いメッセージを打ち出すことができた」と成果を強調した。
宣言は「女性の社会的地位向上は農村地域を変革し発展を促す」と指摘した。G7は、女性の政策担当者や農業者が集まる国際会合を今秋に東京で開く。新興国にも参加を呼び掛け、女性の就農拡大に向け先進事例を紹介する。
高病原性鳥インフルエンザや口蹄(こうてい)疫といった国境にまたがる家畜の疾病に対しては、獣医師を含めた政府当局者間で情報共有を強化する枠組みをつくる。年内に日本で初回会合を開催できるよう各国と調整する。
気候変動の会合は11月ごろに開く方向で、研究の取り組み状況を共有する。これらはいずれも日本が提案し、参加国から賛同を得た。欧州連合(EU)は環境に配慮した上で発展途上国の農業への投資を促す会合の開催を提案し、各国が合意した。
宣言では、熊本、大分両県で相次ぐ地震の被災者に対して「心からの連帯の意」を示したほか、2011年に発生した東日本大震災に関しても「被災地の復興が一日でも早く達成されることを期待する」と明記した。