湾岸エリアやスカイツリーの上空通過 羽田の飛行ルート新設へあす地元と協議会 国際便大幅増へ

国土交通省は26日、羽田空港を離着陸する航空機の東京都心上空の飛行ルート新設をめぐり、28日に地元自治体との協議会を開くと発表した。国交省が示した騒音・安全対策を前提に、地元側が新ルートでの運航を了承する見通しだ。
国は、2020年の東京五輪・パラリンピックまでに羽田空港の国際線発着数の増加を目指している。羽田発着の航空機は現在、主に東京湾上空を通過しているが、都心上空を飛行できるようにすることで、発着回数を現在の年44万7000回から最大3万9000回増やす計画だ。
国交省は、当初案よりも飛行高度を上げる騒音対策を提示。ほかにも空港周辺の騒音対策工事や新たな誘導路の整備などを計画しており、費用の一部を来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。
羽田空港の発着は従来、都心を避け、主に東京湾上空の東側か南側を通ってきた。南風の場合は東京湾上空で旋回し、北側から滑走路へ。北風で北向きに離陸する際も、都心部を大きく迂回(うかい)し上昇する。直線ルートが少なく、東京湾上空の狭い範囲で旋回するため、ルート同士の距離が近いことが増便の障害だった。
新ルートは、北側から南に向けての着陸の際、さいたま市付近から、空港のある東京都大田区にかけ、直進しながら降下する。北向きの離陸時は、湾岸エリアの江東区や、東京スカイツリーがある墨田区付近の上空を通過するほか、南向きの離陸の際、従来は飛行しなかった川崎市上空も直進し上昇する。
南向きの着陸はルートが直線のため、2本の滑走路に向け2機を同時に着陸させることが可能となり、1時間の発着回数が従来よりも10回増えて90回となる。運用は、国際線が混雑する日中の午後3~7時に限定する。
国土交通省は昨年7月以降、東京、埼玉、神奈川の3都県で住民説明会を開催。今年4月に当初のルート案よりも飛行高度を上げる騒音負担軽減策をまとめ、地元に提示していた。空港周辺の地域では、学校や病院の騒音対策工事を国が全額補助する。最新の低騒音機は着陸料を安くする制度も設ける。
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