韓国検察、ロッテ本社など捜索 裏金疑惑「創業以来最大の危機」

 
ロッテのロゴマーク=ソウルのロッテホテル(ロイター)

 【ソウル=藤本欣也】韓国のソウル中央地検特捜部などは10日、同国5位の財閥、韓国ロッテグループをめぐる裏金疑惑の捜査に着手し、捜査員約200人を動員してソウル市内の本社や創業者、重光武雄氏(93)の自宅兼執務室、次男でグループを率いる昭夫会長(61)の自宅など17カ所を家宅捜索した。

 李明博(イ・ミョンバク)前大統領時代の贈賄疑惑へ捜査が拡大する可能性も取り沙汰されており、経営権をめぐって創業者一族の内紛が続いていたロッテは「(1948年の)創業以来最大の危機」(聯合ニュース)に立たされている。

 報道によると、検察関係者は「系列会社間の取引を通じ、数十億ウォン(数億円に相当)規模の裏金をつくった疑いがある」と指摘。横領、背任容疑で捜査を進めるとしている。証拠隠滅の疑いもあるという。

 また韓国メディアは、ソウル市内の複合商業施設「第2ロッテワールド」をめぐり、建設が認可された当時の李明博政権高官らへの金品供与などの疑いでも、捜査が進められるとの見通しを伝えている。

 韓国の株式市場では10日、ロッテショッピング、ロッテフードなど関連企業の株価が軒並み下落した。韓国ロッテグループは、事実上の持ち株会社であるホテルロッテの株式上場を7月21日に予定していたが、先行きは不透明となった。

 武雄氏は高熱のため、9日からソウルの病院に入院している。昭夫氏はメキシコに出張中という。