中国でショッピングカード激減 中秋節前の習慣、企業が大量購入中止
提供:中国新聞中国で以前は中秋節前に販売が拡大していた、デパートなどのショッピングカード。近年は購入者、購入金額ともに激減し、店舗の売り上げ低迷に拍車をかけている。
9月上旬、どのデパートも顧客サービスセンターの人影はまばらだ。ある店舗の販売員は「数年前までは、国有企業などで中秋節前に福利厚生の一環としてショッピングカードを従業員に支給する習慣があり、高額のカードが飛ぶように売れた。今では見る影もない」と嘆く。
ある小売りチェーン大手の関係者は「販売が落ち込んでから3年たつ。公費での贈り物や商品券などの支給が禁止され、国有企業などの大量購入は激減した」と説明する。
今年に入り販売額減少は底を打ち、政策面でも少額であれば従業員への支給品を認める傾向が出てきたが、販売が回復する兆しは見られない。
同関係者は「数年前は違法すれすれのラインでカードを支給する国有企業もあったが、今では国家審計署(会計検査院に相当)などの監査も厳しくなり、ほとんどの企業が購入しなくなった。小売り企業自身も、カード支給の廃止を通達しているほどだ」とため息をついた。
また、以前は1000元(約1万8900円)のカードがよく売れたが、今年は500元以下の小額カードが多い。個人での購入がほとんどで、1人当たりの購入額は少なく、自分の消費や個人的な贈り物に使うという。
広東省広州市にある大手百貨店の集計では、昨年の中秋節頃のショッピングカード販売額が2年前と比べ6割以上も減少。同省商務庁の蔡勇副庁長は「ネット通販の普及と国の関連政策が影響している」との認識だ。
だが、小売り企業にとってショッピングカードの役割は大きい。事前の収入でキャッシュフローに余裕ができると同時に、安定した販売量が確保できるからだ。
こうした中、カードの販売回復に向けて(1)販売対象を民営企業や個人などに切り替える(2)カード販売専門の部門を設立して販売を強化(3)インスタントメッセンジャー「微信(ウィーチャット)」で広告を発信-などを打ち出す小売り企業が増えている。
だが小規模企業や個人では購入量に限界があり、今後大幅減少はないものの、販売量の短期的な回復は難しいとみられている。(広州日報=中国新聞社)
関連記事