日航の定時運航と空の安全を支えるグランドハンドリング 空港で活躍する特殊車両も紹介 (2/4ページ)

  • トーイングカーの運転席に収まる酒井さん。一般的な乗り物よりもはるかに視点が高い
  • 航空機の前輪にトーバーを取り付けて、プッシュバックの準備をする酒井さん
  • 作業中に笑顔を見せる酒井さん。この日の気温は35度近くあった
  • 隣同士のスポットから同時にプッシュバックされる2機のボーイング。まったく同じタイミングは珍しいそうだ。手前のトーイングカーを操縦するのは酒井さん
  • 隣同士のスポットから同時にプッシュバックされる2機のボーイング。まったく同じタイミングは珍しいそうだ
  • 隣同士のスポットから同時にプッシュバックされる2機のボーイング。まったく同じタイミングは珍しいそうだ
  • プッシュバックをするトーイングカー。機材の方が圧倒的に大きい。操縦するのは酒井さん。
  • プッシュバックを終えて片付けをする酒井さんの横を、滑走路に向けて走り出した鹿児島行の航空機
  • プッシュバックを終え、トーバーを取り外してトーイングカーの中に格納する酒井さん
  • プッシュバックを終えて駐機場に戻ってくる酒井さん
  • トーイングカーを運転する酒井さん
  • 大型特殊車両は運転席によじ登るだけでも一苦労
  • 航空機とトーイングカーをつなぐトーバー
  • ハイリフトローダーを到着便に寄せるグランドスタッフ。これからコンテナの搭降載を行う
  • コンテナはハイリフトローダーによって降ろされていく
  • ハイリフトローダーからコンテナドーリー(荷台)に取り降ろされた貨物
  • トーイングトラクターに連結されたコンテナドーリー(荷台)の上に貨物を並べていく酒井さん。重いものは1トンにも達するそうだ
  • トーイングトラクターでコンテナを運ぶ酒井さん
  • 機内食を積んだフードローダー
  • ハイリフトローダーによる貨物の取り降ろしと積み込み、フードローダーによる機内食の積み込みなど一度に様々な作業が行われている
  • 地中から蛇腹状のホースを取り出す酒井さん。これは外部エアコンを供給するためのエアーダクト。駐機中にエンジンを切っているとエアコンが使えないため、地上施設から冷気を送って機内温度を調整する(温風も送風可能)
  • 隣のスポットでもプッシュバックが行われていた
  • トーイングカーのインパネ。様々な計器類がある
  • 前輪付近で電源コネクタを差し込むスタッフ。これは地上から電源を供給するための作業。これにより駐機中は航空機のエンジンを作動しなくても機内の照明や電子機器などが使えるようになる
  • 給油車を使って翼の下から燃料を供給する
  • 搭乗が遅れた乗客の手荷物をベルトローダーで積み込むグランドスタッフ
  • JALグランドサービスの酒井ゆりさんと、“相棒”のトーイングカー
  • 貨物列車のように、連結した荷台にコンテナを積んで走るトーイングトラクター。飛行場でヘビのように走っているあのクルマだ
  • 手荷物を運ぶトーイングトラクター。車両の後ろにコンテナドーリーと呼ばれる荷台を連結してヘビのように走らせる
  • トーイングトラクターのインパネ。このトーイングカーはトヨタ製だった
  • トーイングトラクターはオートマ。ハンドル、アクセル、ブレーキとギアがあり、運転感覚は自動車と似ているそうだ
  • 大型機をけん引/プッシュバックするトーバーレストラクター。航空機の前輪をこの車両で抱え込んで行う
  • これはトーバーレストラクターという牽引車。航空機につなぐトーバーがない代わりに、機材の前輪をこの車両が抱え込んでトーイングやプッシュバックを行う
  • トーバーレストラクターの運転席。ハンドルが前後にあるため、シートの向きを変えるだけで牽引とプッシュバックが簡単にできる
  • トーバーレストラクターの運転席
  • JALグランドサービスの酒井ゆりさん。羽田空港で航空機の安全な運行を支えている


 運転していたのは24歳の小柄な女性

 ひと仕事を終えたトーイングカーが帰ってきた。767と向かい合ったときはあんなに小さく見えた車両だが、目の前に止まるとダンプカーのように全高が高い。まるではしごを伝うように体を大の字に目いっぱい伸ばしてトーイングカーから降りてきたのは、JALグランドサービス社(JGS)でグランドハンドリングに携わる酒井ゆりさん。入社5年目の小柄な24歳の女性だ。とても特殊車両を操って航空機を押すようなタイプには見えないが、実はトーイングを始めたのは最近だそうだ。「今年の1月からトーイングの訓練が始まって、5月に試験が終わって独り立ちしました。それまでは手荷物の搭降載をやっていました」とはにかみながら語る。時刻はまだ朝の10時30分だが、この日は「最初に押したのが6時15分の出発便です」と早朝からすでに何本もの機材を見送っている。

 グランドハンドリングの業務内容は多義にわたる。トーイングやプッシュバック以外にも、「到着便が来た時にマーシャリング(航空機を駐機場へ誘導)を行い、ボーディングブリッジ(搭乗橋)を付けてシップのドアを開けたりします。大型便であれば、ハイリフトローダーを付けてコンテナを降ろしたりします」と教えてくれた。

 到着から出発までに万全の準備を

 プッシュバックの間隔は30分に1本くらいだという。9番スポットに徳島からやって来た到着便が入ると、酒井さんは再び我々の元を離れ、機材に電源コネクタを差し込んで作業用電源を確保したり、外部エアコンを供給する蛇腹状のホースを取り付けたりと出発の準備に大忙しだ。酒井さんのほかにも3、4人が一緒になって様々な作業にあたっている。それぞれ持っている資格が異なり、それによって作業内容も変わってくるそうだ。

日本航空は世界トップクラスの「定時到着率」を誇る