運転していたのは24歳の小柄な女性
ひと仕事を終えたトーイングカーが帰ってきた。767と向かい合ったときはあんなに小さく見えた車両だが、目の前に止まるとダンプカーのように全高が高い。まるではしごを伝うように体を大の字に目いっぱい伸ばしてトーイングカーから降りてきたのは、JALグランドサービス社(JGS)でグランドハンドリングに携わる酒井ゆりさん。入社5年目の小柄な24歳の女性だ。とても特殊車両を操って航空機を押すようなタイプには見えないが、実はトーイングを始めたのは最近だそうだ。「今年の1月からトーイングの訓練が始まって、5月に試験が終わって独り立ちしました。それまでは手荷物の搭降載をやっていました」とはにかみながら語る。時刻はまだ朝の10時30分だが、この日は「最初に押したのが6時15分の出発便です」と早朝からすでに何本もの機材を見送っている。
グランドハンドリングの業務内容は多義にわたる。トーイングやプッシュバック以外にも、「到着便が来た時にマーシャリング(航空機を駐機場へ誘導)を行い、ボーディングブリッジ(搭乗橋)を付けてシップのドアを開けたりします。大型便であれば、ハイリフトローダーを付けてコンテナを降ろしたりします」と教えてくれた。
到着から出発までに万全の準備を
プッシュバックの間隔は30分に1本くらいだという。9番スポットに徳島からやって来た到着便が入ると、酒井さんは再び我々の元を離れ、機材に電源コネクタを差し込んで作業用電源を確保したり、外部エアコンを供給する蛇腹状のホースを取り付けたりと出発の準備に大忙しだ。酒井さんのほかにも3、4人が一緒になって様々な作業にあたっている。それぞれ持っている資格が異なり、それによって作業内容も変わってくるそうだ。