日本財団では2011年に難病の子供と家族への支援を開始。子供ホスピスの整備や難病の子供が行けるキャンプ施設の建設、外出の支援などをしており、今後もより一層力を注ぐ方針だ。
今回のシンポジウムでは、「医療」「福祉」「教育」といった領域を超えて、子供たちと家族をどう地域で支えていくのかがテーマとなった。シンポジウムの冒頭で日本財団は今後、医療、福祉、教育を一元的にコーディネートする“地域連携ハブ拠点”を整備する構想を打ち出した。
それを受ける形で基調講演とパネルディスカッションが行われた。基調講演では、英国の子供ホスピス「チルドレンズホスピス・サウスウエスト」で小児緩和ケア専門医として勤務する馬場恵氏が登壇。小児ホスピス医師の立場から英国における地域ケアの現状を報告した。馬場氏は「英国には現在約50カ所の子供のためのホスピスがある。ホスピスという言葉は涙をイメージさせるが、笑顔と笑い声が絶えない場所で、『楽しい』『憩い』『家のような場所』という声が一番多い」と紹介。その上で、「小児緩和ケアの中で、ホスピスがどのような役割を果たすべきかが問われている。地域の小児科、看護師、保健、福祉、教育といったさまざまな職種の人たちと連携して、小児緩和ケアの一員として役割を果たしていきたい」と述べた。