≪「市民の判断」難しさ露呈 遺族の懸念、現実に≫
菊地直子元信者を有罪とした、裁判員裁判の結論が覆された。複雑な背景を持つ20年前の組織犯罪。元教団幹部らの記憶は薄らぎ、矛盾する証言が交錯する法廷での短期集中審理はプロの裁判官でも難しい。27日の東京高裁判決を聞いた遺族からは「やはり裁判員裁判で審理するべきではなかった」と、ため息が漏れた。
「一連のオウム事件には広い背景があるのに、絞り込んだら本質を理解できないはずだ」。地下鉄サリン事件遺族の高橋シズヱさん(68)は、特別手配3人の1審が裁判員裁判で審理されることに、当初から懸念を示していた。
事前に争点絞り込み
長い時間をかけて膨大な資料や証言を積み重ねた過去のオウム裁判とは異なり、菊地元信者や、同様に事件後に逃亡を続けた平田信(まこと)被告(50)、高橋克也被告(57)の3人の公判はいずれも事前に争点が絞り込まれた。