ドラマーが大活躍するダンスフロア向けの曲も収録されている一方、ドラムのないアンビエントスタイルの前衛的な楽曲も共存している。ビル・エバンスや武満徹を愛聴していたようで、ジャズや現代音楽の影響も大きく受けているようだ。
本人収集のアナログシンセが繰り出す音色は、映画『ブレードランナー』のサウンドトラックを彷彿(ほうふつ)させる部分も…。このアルバムは、クラブミュージックにカテゴライズするよりも、多種多様な音楽が交錯した、近未来の音楽芸術と呼んだ方が適切かもしれない。
先鋭的でインテリジェントなスタイルの中に見え隠れする温かい音楽性も、実に魅力的である。『ELAENIA』は間違いなく新しい時代のクリエーションであるといえよう。(DJ、クリエーティブ・ディレクター 沖野修也/SANKEI EXPRESS)