フランス人にとって、カフェはなくてはならない存在です。フランスには、その地域独自の「地域密着型カフェ」があり、サラリーマンは近所のカフェのカウンターでコーヒーを飲んでから出勤し、帰宅前にも同じカフェに立ち寄り、アペリティフを済ませるなど、フランス人はそれぞれのペースに合わせてごく自然にカフェを利用しています。いや!正確に言うと利用していたのです。
実は、パリのカフェ事情は最近大きく変わりつつあるのです。とても残念なことに“Les vrais caf?s Parisiens”(パリらしいカフェ)が減り、東京と同じような、おしゃれカフェが増えてきているのです!!
大切な大衆文化
パトリック・モディアノ(Patrick Modiano)の小説に登場するようなカフェを見つけることが、難しくなりました。私の住んでいる6区に唯一残っている「地域密着型カフェ」は、ボナパルト通りの「ケベック」という店だけです。そこには昔ながらの地元の常連さんや酔っぱらいが深夜の2時まで集まり、たわいもない話を楽しんでいます。カフェは何時に行っても、誰か知っている人に会える“集会所”のような役割と、いつ行っても食事ができる“食堂”のような役割を果たしてきたのです。